1 はじめに

不登校の子どもたちは、さまざまな理由から学校に通うことができず、その結果として学校での学習機会を失ってしまうことがあります。しかし、学びの場は学校だけにとどまりません。学校以外の交流の場や、家庭であっても学びを進めることは可能です。

不登校の子どもたちにとって学び直しや新しい知識を得ることは非常に重要です。特に適切な学習方法を選ぶことにより、学びを大きく進めることができるでしょう。

1.1 学習方法の様々な観点と、不登校の子どもにおける学習方法の選択の重要性

学習方法を選択する際には、いくつかの側面から各学習方法を評価してみると良いでしょう。ここでは、不登校の子どもにあった学習方法が持つ、様々な観点について説明します。

1.1.1 個々のペースでの学び

自分自身のペースで学ぶことは重要です。従来の学校教育では学年ごとに固定された一斉授業が主流です。この方法は大勢に対して同時に知識や技能の提供を可能にする一方、一人ひとりへの配慮は比較的限定的です。この方法では、個人ごとに異なる理解度や興味関心に応じた学びは難しいでしょう。個別指導やオンライン教材など、柔軟な学習方法を取り入れることで、子どもは自分のリズムで理解を進めることができ、自信を持って学べるようになるでしょう。

1.1.2 心理的安全性の確保

学校で他の人と授業を受けていた時、「先生に当てられて答えられなかったらどうしよう」、「宿題を忘れてしまった。怒られたらどうしよう」、と心配をしたことはありませんか?このようなストレスは学びには不要です。適度なストレスは学習の継続に良い効果をもたらすかもしれませんが、安心感なしに学習を継続することはとても疲れます。家庭教師やオンライン学習など、自宅で行える方法は子どもの心理的安全性を提供し、ストレスなく学べる空間を作り出せる可能性があります。

1.1.3 自己肯定感の向上

適切な学習方法によって達成感を得られると、子どもの自己肯定感が高まるでしょう。小さな成功体験を積み重ねることで、「自分にもできる」という意識が育ち、さらなる挑戦への意欲につながります。この自己肯定感、成功体験は、今後の人生においても非常に重要となるでしょう。

1.1.4 多様なアプローチによる興味喚起

アクティブラーニングやプロジェクトベースの学習といった方法を取り入れることで、不登校の子どもはそれぞれの特性や興味に合わせた異なるアプローチで学習することができます。こうした学習方法は新たな興味を引き出し、自発的な学びへとつながる可能性があります。また従来の教育方法では伸ばすことが難しかった能力を伸ばすことも期待できます。

このように学習方法には様々な側面があり、不登校の子どもそれぞれに合った学習方法の検討、選択が重要であるといえます。この記事ではこれらの観点に基づいて、具体的な学習方法について検討していきます。

2 様々な学習方法

2.1 個別指導、家庭教師を利用した学習方法

様々な学習方法の選択肢がある中で、個別指導や家庭教師といった選択肢は最も重要な選択肢の一つです。これらのサービスは、不登校の子どもが抱えるさまざまな問題やニーズに応じた柔軟な学び方を提供することで、より効果的な教育環境を整えることができます。

家庭教師による個別指導のメリットをいくつか確認してみましょう。

2.1.1 カスタマイズされた学習プラン

不登校の子どものサポートに適した家庭教師は、各生徒の理解度や興味に基づいてカスタマイズされた専用の学習プランを作成します。これにより、生徒は自分のペースで学習を進めることができ、興味をもった特定の科目やテーマについて深く掘り下げることが可能になります。このような個別対応は、不登校の子どもにとって特に有益です。

場合によってはアクティブラーニングやプロジェクトベースの学習を取り入れ、適切なテーマを設定し、学習後のフォローアップを行うこともできます。このような学習を行う場合、生徒と実際にコミュニケーションを行い適切にサポートを行うことができる家庭教師は、特に有用です。

2.1.2 一対一のコミュニケーション

家庭教師との一対一の関係は、子どもが安心して質問したり、自分の考えを表現したりできる環境を提供します。この気軽なコミュニケーションによって、子どもは自信を持ち、自ら積極的に学ぶ姿勢を育むことができます。

2.1.3 柔軟なスケジュール

不登校の子どもには学校生活とは異なるライフスタイルがあります。家庭教師による個別指導は、時間や場所について柔軟性があり、子どもの状態や気分に応じて好みのタイミングで授業を行うことができます。夜の時間帯だけではなく、昼間の時間帯に個別指導を受けることも可能です。

2.1.4 モチベーションの向上

家庭教師による個別指導では、生徒一人ひとりの進捗状況や成果を細かく把握し、それに応じたフィードバックを行うことが可能です。達成したことへの評価を受けることで、達成感を感じ、モチベーションの向上や、自発的な学びにつながるでしょう。

2.2 オンラインの学習コンテンツを利用した学習方法

現代ではオンライン上において無料で利用できるテキストや、動画コンテンツ、またはオンラインのコースを利用することができます。これらのコンテンツを利用することで、学習を進めることが可能です。コンテンツごとの特徴について確認してみましょう。

2.2.1 テキストベースのコンテンツ

テキストベースの情報は以前から存在します。実物の書籍同様、テキストを読み進めることにより学習を行います。近年では動画を使った学習を行うこともできますが、テキストを使った学習も依然として重要です。学習内容によっては動画よりも深く学習することが可能でしょう。

一方で、初めて学習する内容の場合は、テキストベースの学習では難しい場合があります。テキストベースの学習の場合、学習内容の全体像を把握することは必ずしも容易ではないからです。新しい分野の学習において重要なことは、まずその分野の全体像を把握することです。その分野で学習するべき内容の大枠を知っとくことは、旅において地図をもっているようなものです。地図を持たずにその場その場で判断して目的地へと進むことは容易ではありません。まずは全体像を把握し、その後深く学習することで、効率よく学習を進めることができるでしょう。

2.2.2 動画を使ったコンテンツ

テキストベースの学習が苦手な部分は、動画を使ったコンテンツにより補完することができます。動画を使ったコンテンツは細かい内容を理解するためには必ずしも適切とは限りません。その一方で、動画では学習内容の大枠を簡単に把握することができます。初めての分野を学習するためには勇気が必要なこともありますが、わかりやすくまとめてある動画を使うことにより、初めての学習分野であってもスムーズに学習を始めることができるでしょう。

2.2.3 オンラインのコース

ある内容を動画やテキストを使って学習したとしましょう。では、次はどの内容を学べば良いのでしょうか?1つの動画は1つの学習内容を学ぶためには便利かもしれません。一方で、複数の動画間のつながりについて理解することは容易ではないかもしれません。学習では様々な関連する分野を適切な順番で学習する必要があります。たいていの学習内容には、理解するために必要な前提となる知識が存在します。この知識なしに新しい内容を理解することは困難でしょう。

オンラインのコースでは、そのコースにおける目標の達成に必要な学習内容が整理され、適切な順番で学習することができるでしょう。またそのコースの前提となる内容が紹介されている場合もあり、コースの受講者は必要な知識を学んだうえでコースを受講し、その内容を理解することができるでしょう。

2.3 家庭や学校以外のコミュニティーにおける体験型の活動やコミュニケーションによる学習方法

社会生活においては、家庭や学校とは異なる集団におけるコミュニケーションも大切でしょう。外出して何らかのコミュニティーに参加することができるのであれば、以下のような活動は、これまでに紹介した方法とは違った効果を子どもにもたらすかもしれません。

2.3.1 体験型の活動

工作や実験、またはのびのびと体を動かす活動といった体験型の活動には、五感を介した様々な刺激があり、多様な感覚から子どもの興味をひいたり理解を深める助けになるでしょう。このようなアプローチは特に不登校の子どもにとって、新しい発見や興味の喚起につながりやすいでしょう。

2.3.2 メンタリングサポート

同じような経験を持つ仲間やその親との交流は、大きな支えとなるかもしれません。メンタリングプログラムに参加することにより、子どもに寄り添ったサポートや、安心感、共感が得られるでしょう。またピアサポート (peer support) を行うグループでは、一般的に同じような悩みや経験を持った人たちが集まり、お互いに支えあう活動を行います。コミュニケーションを深める中で、「自分も誰かの助けになる」、といった自己肯定感を得ることができるかもしれません。

こうしたコミュニケーションに基づく活動では、知識や技能とは違った多くのことを学ぶことができるでしょう。

3 まとめ

不登校の子どもたちには、多様な学習方法が存在します。従来の学校教育にとらわれず、個別指導やオンライン学習、プロジェクトベースの学習、そしてコミュニティーに根ざした学習など、それぞれの子どもに合ったスタイルを選ぶことが重要です。これにより、子どもたちは自分のペースで知識を深め、コミュニケーションを行い、自信を持って学び続けることができるでしょう。

また、各家庭で子どもとのコミュニケーションを行いながら、最適なアプローチを見つけることが重要です。子ども一人ひとりの特性や興味、ニーズは異なるため、一律の方法ではなく、その子に合った支援を考える姿勢が大切です。

様々な取り組みを通じて、不登校の子どもが自信を持って活動できるようになることが期待されます。

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