1 はじめに

留学やインターナショナルスクールなどで、英語を使って数学を学習してるけれど、授業がよく理解できない。どうやったら授業についていけるのか。この記事ではそうした悩みを解決することを目指し、いくつかの方法を紹介します。

2 英語の学習?数学の学習?どちらが必要?

まず Table 1 を見てみましょう。この表では数学や英語が、“得意”または”不得意”であるかに基づいて、学習者のタイプを分類しています。例えばタイプ (1) の場合は、数学と英語、どちらも得意ですので、そのまま学習を進めるとよいでしょう。一方でこの記事が対象にしている方は、主にタイプ (2), (3), (4) の方です。これらのタイプに当てはまる方は、数学と英語、少なくとも一方を苦手だと感じている方であるといえます。

それぞれのタイプごとに解決するための方法は異なります。タイプごとに解決方法の例を見ていきましょう。

Table 1: 数学と英語における学習者の得意・不得意のタイプ分類
Type Math English
(1) \checkmark \checkmark
(2) \checkmark \times
(3) \times \checkmark
(4) \times \times

\checkmark: 得意, \times: 不得意

3 タイプ (2): 数学は得意だが、英語は苦手なタイプ

数学の問題は解けるものの、英語で書かれた問題文が何を言っているのか今一つ理解できない方は、このタイプかもしれません。このタイプの方は、数学の力をうまく使いながら英語を伸ばす方法がお勧めです。英語を使って数学を勉強するためには、もちろん最低限の英語の力は必要です。一方で一般的な英会話などの練習をしたからと言って、数学の授業が理解できるわけではありません。数学で使われる英語の用語や表現は独特であり、必ずしも日常会話では出てこないからです。

3.1 すでに知っている数学の分野を英語で学習する

自分でできる方法でおすすめなのは、すでに知っている数学の内容を、動画やテキストを使って学習することです。英語は”音”が重要ですから、最初は動画がお勧めです。動画で学習する際には、以下のポイントをチェックしておきましょう。

  • 足し算や引き算など数学の内容としてはすでに知っていることを扱っている
  • 英語字幕を表示する
  • とにかく多くの動画を見る

数式は基本的に世界共通です。英語の動画であっても書かれている数式を見れば、ある程度内容を理解できます。またすでに知っている内容であれば、比較的簡単に動画の内容を理解することができます。動画を見ながら数学用語の英語表現や、説明の際に使われる英語のフレーズなどを確認していきましょう。

英語字幕を表示することも重要です。個人の経験談ですが、英語の音声と文字を同時に視聴することにより、音と英単語・フレーズが関連付けられ、リスニング力の向上が期待できます。

後は、やはり量です。数学用語だけでも数多くありますから、とにかくいろいろな数学の分野の動画を多く見ることにより、知っている単語の量や表現の方法を知っていきましょう。

3.2 質問したいことについてロールプレイをする

動画の視聴は一方向的な伝達方法ですから、動画の内容に対して質問することは難しい場合があります。そうであっても、動画で気になった点があれば、「もし質問するとすれば、こういう風に聞いてみよう」、と、一人でロールプレイをしてみましょう。英語を使いこなすためには、動画の視聴やテキストを読むなどの”インプット”だけではなく、自分で話したり書いたりするなどの”アウトプット”も大事です。質問をする人の役になりきって、ロールプレイをしてみましょう。わざわざ文章に書かずに、声に出せば良いと思います。

4 タイプ (3): 数学は苦手だが、英語は得意なタイプ

英語の問題文はだいたい理解できるものの、数学の用語の意味を説明できない、また簡単な問題を解くことが難しい方は、このタイプかもしれません。英語の理解にはあまり問題がないと思いますので、数学を理解するための方法について検討してみましょう。

4.1 数学の用語の定義を確認する

数学では用語の定義 (definition) が出発点となります。定義とは、“それが何であるかをはっきりと定めた説明のこと”、です。数学ではわからなくなったら定義に戻ることがよくあります。定義は出発点のようなものです。定義があいまいであれば、どこから問題に取り組めばよいかわからず、そもそもスタートすることが難しくなります。定義を理解してスタート地点をはっきりとさせ、問題に取り組みましょう。

4.2 計算や基本問題を繰り返し練習する

数学において計算や基本的な問題が解けることは、言語での読み書きのように必須なことです。問題を解く際に基本的なことを理解していないと、そもそも問題を解く方法を考えることすら難しいことがあります。

基本な問題を解くためには繰り返しの練習が効果的です。海外のテキストはかなり分厚いものが多く、最初は圧倒されることも多いかもしれません。またテキストが厚く、内容が多いことは良いことである一方、最初はどこから手を付ければよいか、見通しが立ちにくい場合もあります。新しい分野の学習を始める際は、日本の薄い計算用の問題集のような、簡単な問題に特化した問題集を使って基本を確認しておくことも良いでしょう。

4.3 数学の用語について、英語で知っているかを確認する

このタイプの方は、会話など英語での意思伝達に特に問題はないと思います。一方で、数学では日常生活ではあまり使わない単語が出てくる場合もあります。念のため、数学の用語を英語で知っているかを、確認しておくとよいでしょう。

5 タイプ (4): 数学と英語が苦手なタイプ

数学と英語、どちらも苦手だという方は、タイプ (2) とタイプ (3) の方の勉強方法を組み合わせてみるとよいでしょう。数学も英語も、習得には多くの時間が必要となるものです。英語ができれば日本語よりも多くの情報を得ることができ、英語で書かれた学習に役立つリソースも利用できます。そうすれば数学の理解に役立つ教材も見つけることができるでしょう。

また学習において重要なことは、わかりやすい教材や自分に合った学習方法は人によって異なる、ということです。他の人が「わかりやすい」、と言っていたとしても、それがあなたにとってわかりやすい教材や説明であるとは限らないということです。

しっかりと腰を据えて、自分に合った学習方法を探していきましょう。そして継続的に学習を行いましょう。英語で数学を学習することにより得られることは、きっと多いはずです。

6 サポートが必要な時は

数学でわからないことがあれば、わかっている人に聞くことが効率的です。一人で考えることも大事ですが、一方でちょっとしたヒントをもらえば一気に理解が進む場合もあります。何がわからないかすらわからなくなってしまった場合でも大丈夫です。適切なチューターに教われば、どこが苦手なのかを教えてくれたり、あなたにあった学習の方針を考えてくれるでしょう。

また数学にはある程度典型的な解き方というものがあります。「このタイプの問題だと、こう解くよね」、という解き方です。そうした解き方を教われば、きっと学習を進めやすくなるでしょう。

エデケルでは日本のカリキュラムだけではなく、英語を使った数学の学習サポートも行っています。一人一人にあったオーダーメイドの学習プランやサポートを提供します。ご興味があれば、お気軽にお問い合わせください。